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対談ページ

地方自治体の成功事例をナショナル・スタンダードに!

リアリティーが欠如した都会生活

spaeaker 土屋正忠(以下 土屋)

 今や、全国のいたる所で都会的な生活をするようになっています。それは人工的な空間で人工的な生活をしているということです。それはそれで豊かさの象徴なのですが、リアリティを欠いた豊かさでもあるわけです。例えば、コンビニで食べ物を買ってくると、たった一食なのにそこらじゅう容器だらけになってしまう。まさに、大量生産、大量廃棄です。環境に負荷をかけておきながら、自分たちだけはリアリティを欠いた空間にいて、消費活動をしている。それが何か長い連関の中でではなく、自分たちの空間だけで過ごせるという思い上がりですね。だから友達も少ない。友達がほしいからとメールして会いに行ったら突然ひどい目に遭う、何かを買わされる、そういう事件もおきている。熱く語る土屋正忠先生

 だから、私たちは次の世代を育てるときに、現代の持つ可能性と豊かさと同時に歪みをきちっと捉えていないといけない。実は、こんなに豊かな社会は日本人の生活の中で始めて起こったことです。日本列島に人が住み始めて5000〜6000年は経つのでしょうが、この十数年でようやくたどり着いた社会なのです。しかもそれは時間という縦軸から言っても、地理の横軸から言っても、そうなのです。世界で60数億の人がいて、三分の一は飢えていて、三分の一はなんとか生きていて、三分の一くらいしか豊かな生活はしていない。アメリカは日本と同じように豊かな生活をしているけれども、ワイルドな自然もいっぱい残っている。そして子供たちにフロンティアスピリットを忘れさせないために夏休みの間に必ず1ヵ月間ぐらいは自然キャンプに行くカリキュラムを持っている。ハイテクノロジーであると同時にハイタッチの生活をしているわけです。ところが、日本だけはハイテクノロジーであるけれどもハイタッチの生活をしていない。極端なこといえば日本では365日都会の中にいる限り、風にもあたらないわけです。果たしてそれで種としての日本人がちゃんと形成されるのかどうか、次の世代に伝えていけるのかどうか、このところが今の政治の根本問題だと思うのです。

土屋先生と熱く語る戸井田speaker 戸井田とおる(以下 戸井田)

 同感です。文部科学省も、国家が求める人間像を提起しようとすると、戦前の教育につながるのではないかと極力避けている。社会教育が必要だ、家庭教育も必要だと言いながら、あるべき日本人の姿がないわけです。今度の教育基本法の中でも「親」という言葉はなく「保護者」を使っている。その意味も分かります。なぜ保護者なのか。しかし、そこに気を使いすぎながら本来あるべき基本形が提示されていない。実際に現場では何をどう扱っていいか分からない、ある思想を持った連中が自分たちで勝手に教え込もうと思っている。

親が子供に教えることとは

spaeaker 戸井田

  最近、社会教育が喧伝されていて、社会とか、社会化という言葉が多く出てきていますね。社会教育は社会が社会の人間に教えていく、その流れで、子育ての社会化だとか、介護の社会化という言葉が出てくる。しかし、本来、子育ても介護も教育もすべて家庭からスタートするものです。親がするものだが、全く排除されている。そこが一番問題なのです。

speaker 土 屋

  先日、食育の会議があったときに戸井田先生は「食を通しての教育は親がすべきではないのか」と発言されたと聴きました。本当にそのとおりです。世界中の動物で親が子に餌をやらない動物はいない。人類全体をみても、60数億の人類の大半は親が子供に食べものを与えています。

 保育園制度には問題もあるけれども、保育がこんなに一般化したというのは、日本が世界最先端ではないでしょうか。とりわけ生まれたばかりの子供を保育園に委ねることをこれだけ積極的にやっている国は少ないですよ。 たとえば、スウェーデンでは生後18ヵ月までの乳幼児は預からない。 それまでは母または父が育てて、18ヵ月までの間に親子の関係を確立する。そのあとは保育園ということになる。生きることの基本的な営み、生きることの最大の目的は自分の生命を次の世代に伝えていくことだが、日本ではそういう基本的な営みというか、軸が少しずれている。ここで大事なことは「ずれているからなんとかしろ」ではなくて、政治家として行くべき目標を決め、それをどう具体的な政策として実施していくかです。
熱く語る 土屋先生  子育てや教育にはいろいろな課題がありますが、文部科学省等に申し上げていることは、就学前教育は生涯学習で、母親と父親の教育も一緒にやらないとだめですよ、ということなのです。 従来の幼児教育は幼児にスポットをあててそれを科学するけれども、そうではない。親と子、母と子、父と子の関係論も加味する必要がある。物事はひとつだけスポットをあてても分からない、物事には相関関係があるから、それを一緒に見ないと物事の本質は分からない。幼児の一番の関係者は母であり父であるわけですから、生涯学習という枠組みでみますと幼児教育だけじゃなくて、母と子の関係、父と子の関係をしっかり作る。それから地域社会の関係を作る。子育ての社会化というのはまず母子父子の絆をしっかり見極めることが大事です。しかしそれだけでは人間関係が固定してしまうから、いろいろな人が行き会うようにしないといけない。昔は隣近所が自然にそういう関係をつくっていたけれども、今はそうした自然的な地域社会が出来ない。だから社会化についてはいろいろ言わなければならないのです。

コミュニケーションの場、子育てを楽しむ「0123」の発想

spaeaker 土 屋

  武蔵野市では平成4年に保育園でもない幼稚園でもない0歳1歳2歳3歳を中心とする「0123」という施設を立ち上げました。家庭保育をしている人は母子の絆が非常に強い、だけど逆に言えば社会的な人間が出来ない。「0123」の発想は母子父子がそこに行って同じような年齢の子をもつ人たちと社会を作ってみてください、ということなのです。今の子育ての現況は2極分化していると思うのです。片方は家庭保育、片方では産休明けから長時間保育をする。今の長時間保育は朝7時半頃から夜の7時半頃まで12時間以上預かるわけです。昔は8時間以上預かると子供の人格形成に影響があると言われていたのですが、今は12時間ですよ。

熱く語る 戸井田とおるspeaker 戸井田

  1歳半の子供を13時間預けていたら、その子供に円形脱毛症ができた、という話を聞いたことがあります。やはり長時間保育は相当のストレスだったのでしょう。
spaeaker 土 屋
  生後18ヶ月まで預からないのは、ロシアも中国もそうです。これは共産主義社会でも人間性のことを重視した時代があるからです。日本は産休明けから長時間保育をさせることについては少し考えなおしたほうが良いと思います。スウェーデンのことはいろいろ話題にでるけれど、生後18ヵ月間は保育園などでは預からないことは、誰も言わない。
生後18ヶ月まで預からないのは、ロシアも中国もそうです。これは共産主義社会でも人間性のことを重視した時代があるからです。日本は産休明けから長時間保育をさせることについては少し考えなおしたほうが良いと思います。スウェーデンのことはいろいろ話題にでるけれど、生後18ヵ月間は保育園などでは預からないことは、誰も言わない。

speaker 戸井田

 都合のいいところだけをとってあとは政策に押し付けている。

spaeaker 土 屋

熱く語る土屋先生  家庭保育をしている人は母子べったりで、これもなかなか大変ですから育児ノイローゼになっちゃう。一方、保育園に預けている人は早い時期から手が離れている。だから武蔵野市でやろうとしたことは、それを相互乗り入れしようということです。つまり、家庭保育をしていて母子だけで長時間いる人については「0123」にきて他の人たちとコミュニケーションをとってもらおう、一方で「0123」を土曜日や日曜日も開けて保育園に預けている人が来て自分の親子関係を作ってもらおう、それで「0123」を作ったのです。
これらと同じように、今何が弱点か、そしてしっかりと目標を設定して、それに向かって政策形成をしていくのが政治家の役割だと思うのです。

第3回につづく


対談テーマ募集

『最近気になるあの人ってどんな人?』『あの人の考えを聞いて欲しい』など、皆さんの声をもとに戸井田が多くの方々と対談し、お伝えしていきたいと思います。どうぞ、お気軽にご意見・ご要望をお聞かせ下さい。
多くの考え方や想いを持つ方々と、しっかりと率直に語り合います。